一汁一菜でよいという実践

信州のめぐる四季のなかで食と食まわりを坦々と記録する日々。余裕のない日は一汁一菜以下、そうでない日はそれなりに。

まぼろしの「カッパ肉」

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写真:カッパを広げたところ。全貌は見たことがありませんが、うちで入手しているものはだいたい大きな三角形をしています。

 

 

 

うちの食卓には「カッパ」という肉が登場します。

 

 

牛の前腹の皮と脂身の間にある膜のようなスジ肉です。

雨合羽を広げたみたいなかたちから、この名がついたそうです。

 

 

うすべったくて、片側に脂がついています。

肉の太い繊維がはっきりわかります。

 

 

 

母の実家のおとなりは肉屋さんでした。

牛の枝肉がぶらさがっていた光景を覚えています。

 

 

祖母がよくこのカッパを買ってきて、丸のまま網で塩焼きにして(中はミディアム)、スライスして食べさせてくれました。

 

 

噛みごたえがあって、赤身のうまみが濃厚に感じられます。

わたしたちきょうだいは、この肉が大好きでした。

 

 

肉の名称を知ったのは5年ほど前です。

それまでは、名前があることすら気づかなかったほどで……久しぶりに思い出して「食べたいナ」となってはじめて、「あれ? 牛肉だと思うんだけど、どこの部位だろ?」と名前を調べた次第です。

 

 

青木村でカッパを食べられるようになったのは、あるお店のおかげでした。

 

 

上田の某スーパー。

ここは、直売所の規模も質も、ここいら界隈では随一なのではないでしょうか。

新鮮な地物野菜を買いたいときは、ここ一択です。

 

 

野菜だけでなく、精肉もいいものをそろえているので、いちど、精肉担当の方に「カッパという部位はありますか?」と尋ねてみました。

 

 

「ある」と言うではないですか。

 

 

しかも「売り物にならない部分だから、タダで譲りますよ」とのこと。

 

 

タダはいくらなんでも心苦しいし、わたしの座右の銘「タダより高いものはない」なので、

「いや、お金は取ってください。これからも食べたいので」と言っても、

「捨てる部位ですから、値段のつけようがないんです」とのこと。

 

 

「こんなにおいしいのに、捨てちゃうんだ……」と複雑な気持ちになりましたが、ありがたくいただくことに。

 

 

それからは、冷凍保存してくれたものをときどきいただいて帰るのを繰り返しています。

 

 

そんなわけで、冷凍カッパ肉がわがやの冷凍庫には大量に入っています。

 

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 写真:右のビニール袋に入っているのがすべて「カッパ」。6~7個はある? このほかに冷蔵庫で解凍中のものが2個。

 

 

上田地域ではかえりみられることのないカッパですが、南信では煮込みにして食べるのだそうです。

 

 

たくさんあるので、調理法をいろいろ試しているところです。

 

 

・塩豚ならぬ塩カッパにしてみる → スープ、ゆで肉に展開

・味付け肉にする → 煮込み、カレーなど

 

 

小さく切って煮込めば、そこそこ軟らかくなることもわかりました。

 

 

牛すね肉より硬いんです。

肉の繊維の間に細かくスジが入り込んでいる感じで。

でも、焼いても食べられるのだから、すねより使えるかもしれません。

 

 

これからやってみたいのは、コンビーフ的な加工肉か、干し肉ですね。

 

 

精肉にはとても興味があって、肉屋になろうかと思ったこともありました。

 

 

というわけで、肉屋の話に続きます。