一汁一菜でよいという実践

信州のめぐる四季のなかで食と食まわりを坦々と記録する日々。余裕のない日は一汁一菜以下、そうでない日はそれなりに。

こんだて試行錯誤

日々の献立、どうやっていますか?

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料理は好き、というわたしでも、毎日のこととなるとなかなかこれが大仕事です。

好きなぶん厄介、と言うべきか。

 

今は在宅で仕事をしているのでだいぶ変わりましたが、勤めに出ていた頃は、追いかけられるようにこなしていました。

力尽きて外食もよくしていましたね。

 

いろいろ試行錯誤のうえ、献立に頭を悩まさないシステム作りに手をつけてみました。

今日は、そこでわかったポイントを書いていきます。

 

 

 

 

 

 

献立が決まっていないことのデメリット

そもそもの話ですが、献立が決まっていないとどんなデメリットがあるのでしょうか。

 

ざっと考えてみると、

1.食材にロスが出やすい

2.やっつけになる

3.朝ごはんを食べながら昼ごはんのことを考え、昼ごはんを食べながら夕ごはんのことを考え……というエンドレスループにはまる

4.よってイライラする(→家庭が荒れる)

といったデメリットが考えられました。

 

お財布的にも、精神的にも、よろしくないですね。

 

究極の解決法はやはり「一汁一菜」に尽きます。

ですが、もうチョットいろいろ食べたいなぁというわたしのような方もいるはず。

 

 

 

 

献立を決めないことのメリット

逆に、献立を決めないメリットは何かというと

1.そのとき食べたいものを作ることができる

2.縛られ感がない

3.ほかの人が台所に立ちやすくなる

ということでしょうか。

 

こう書きだしてみると、献立はあらかじめ考えなくても何とかなることがわかります。

ただ、そのためには「スキル」と「環境」が必要です。

 

「スキル」は、回数こなすことで自然に身についていきます。

「環境」は、

・使う食材や作る料理がある程度定番化している

・毎日買い物に行ける地理的、時間的条件

・ほかに料理ができる人がいる

 といったことでしょうか。

 

この条件を満たすまでは、献立をあらかじめ考えたほうが効率的かもしれません。

 

 

 

 

献立を決める前にやっておくことは4つ

1.食べるスタイルを定型化

 

最初に三食それぞれの「スタイル」を決めてしまいましょう。

スタイルを決めれば、考えなければならない部分を最小化できます。

 

たとえばわがやは、朝食は「ごはん+みそ汁+朝ごはんセット(ごはんのとも)と決めています。

ときどきパンケーキやパンを食べることがありますが、それはあくまでイレギュラー。

「時間に余裕のある休日」「週1回以下」を目安にしています。

 

昼食は、最近は「ごはん+前夜や朝の残り物」にしています。

残り物がない場合は「麺類」や「丼物」などワンプレートで簡単に済むものにしています。

 

そして、夕食に「そのとき食べたいもの」を作るようにします。

基本は「ごはん+おかず1~2種程度」です。

おかずが多いときは、それだけ余裕があったか、残り物を出しているかです。

 

もうすでにお気づきかもしれませんが、献立らしい献立は、実質ほぼ夕食だけなのです。

 

 

 

2.使う材料×調理法を定型化

「よく使っているなー」という材料をピックアップします。

「よくやってるなー」という調理法もピックアップします。

 

そして、両者を掛け合わせると……おのずと「よく作る料理」が浮かび上がってきます。

 

横軸に調理法、縦軸に食材という具合に表にするとすごくわかりやすいです。

たとえばこんなふう。

 

 

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空欄は無理に埋める必要はありません。

調理法もですが、使う食材も手を広げすぎないということは大事なことです。

放っておいても、食材のバリエーションは「旬」を追えばおのずと出てきます。

 

それでも、結構な数のメニューが出てきませんか?

7品あれば同じメニューは週に1回だけですから、それで十分ではないでしょうか。

 

ちなみに、こんな方法も。

わたしが参考にしている『3人子持ち働く母の「追われない家事」』(KADOKAWA)の著者・尾崎友吏子さんは、平日夕ごはんをパターン化しています。

 

月…週末に作った煮込み料理

火…丼物

水…パスタ

木…ピラフ

金…焼きそばorカレー

 

それぞれに味付け、材料などで4パターンあれば、同じメニューは月1回しか出てこないことになり、バリエーションとしては十分すぎるほどです。

 

また、これは調理道具をむやみに増やさないためにも役立ちます

よく使う食材や、よくやっている調理法がざっくりでも把握できていると、

「あっ、これ便利かも」

「これ、いいなぁ」

と思ったときに、

「うーん、でもこの調理法、うちではあんまりやらないんだよな」

「これで作りたい料理って……一品しか思いつかない」

とブレーキをかけやすくなります。

 

 

 

 

3.使う調味料をしぼりこむ

から揚げひとつとっても、「鶏もも肉×醤油×小麦粉」の定番だけでなく、

・衣を片栗粉やごまにする

・味付けにカレー粉を入れる

・揚げた後にネギダレをかける

・もも肉をむね肉にする

等々、どんどん展開していけます。

 

そこでキーになるのが調味料。

 

面白いもの、変わったものについつい手を出してしまいがちなのが調味料ですが、ここをしぼりこむと料理が楽になってきます。

 

わたしはおおむね、こんな感じで揃えています。

 

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ここから増えたり減ったりすることもあります。

ワインや紹興酒がなければ洋でも中でも日本酒を、ごま油を切らしていたらなたね油を、というように、味に大きく影響しない限りは流用もします。

 

さらにスパイスで変化をつける方法もありますが、話が広がりすぎるので今回は割愛します。

 

「この調味料はどういう系統の料理に使うのか」が自分の中で明確になると、「食材×調理法×調味料」で無限に料理を生み出せるスキルにもつながっていきます。

同じ「鶏肉と大根の煮物」も、

・醤油、砂糖 →和

・バター、塩、こしょう →洋

・ごま油、塩、しょうが →中

という具合です。

 

また、冷蔵庫の奥に調味料を死蔵して自己嫌悪……ともさよならできます。

 

 

 

4.献立は詰め込まずマージン(余白)を

そして、献立は全食かっちり決め込むことはしません。

 

夕ごはんにもときどき、ワンプレートでかたちになる献立を組み込んでおいたり(麺類、カレー、ピラフなど)、週半ばの夕ごはんをわざと「空白」にしたりしています。

こうして、予定通りにいかないとき、体調がよくないとき、やる気が出ないとき、時間がないときに対応できるようにしておきます。

 

「空白」は、予定変更でずれ込んだ献立を吸収する余白です。

さらなるセーフティネットとして「宴会」「朝食と同じスタイル」(一汁一菜ですね)を切り札としておきます。

 

うちの現状では、平日に外食するのが事実上ほぼ不可能なのでこうなっていますが、そうでないお宅は「外食」も切り札になるでしょう。

 

 

 

 

献立は可視化する

作業は三段階に分ける

献立を考えるとき、わたしは三段階の作業に分けています。

 

step1.主な在庫を書き出す

step2.在庫をながめながらメニューを考えて、足りないもの(=買うもの)を書き出す

step3.1週間を限度に、決められるだけ献立を書き込む

→買い物へ

 

step1~3を通して大切なのは、きっちりやろうとしないことです。

 

在庫は目につくもの、早く食べてしまいたいものだけ書きます。

メニューは思いつくだけで構いません。

買い足すのは「いつもの食材」を中心に、作りたいメニューに合わせて。

 

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写真:前はこんなフォーマットも使っていました。左が「在庫」と「作りたいメニュー」、右が「買い出しリスト」です。細かい話ですが、買い出しリストは売り場別に作っておくと、漏れがなくなります。

 

予定や食材の都合などで早めに書き込んでいたほうがいい日もありますが、そうでなければあまり決め込まないようにしています。

 

なぜなら、苦しくなるからです。

スケジュールの突発的な変更、そして作る人のやる気に合わせて変えられる余地を残しておきましょう。

それが、先ほどお話した「マージン(余白)」です。

 

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写真:1週間分の献立表。日付の横は、食べる人の予定で献立に影響しそうなものを書き込みます。けっこうざっくりしているし、予定通りにならなかった日もあります。

 

これ、step1~3を通してものの10分で終わります。

しかも、やってみると頭と冷蔵庫の整理になりますし、向こう1週間は献立に頭を使わなくていいことになります。

 

  

 

ネット宅配ならさらに管理が楽に

今は、食材はネットで注文する宅配(生活クラブ)にほぼ集約しているので、もっと簡単になりました。

 

どの生協もそうなのでしょうか、基本的な食材以外は毎度注文できるとは限りません。

なので「これ食べたい!」を優先して注文します。

 

ただ、「注文したはいいが料理のしようがない」は困るので、同時進行で想定メニューをざっくり考えます

と同時に、冷蔵庫とストック食材を入れてあるカゴもざっと見ておきます。

これで、買い忘れも買い過ぎもなし。

 

注文を完了すると、注文したものがメールで一覧になって送られてきます。

これをWordファイルにコピー&ペーストしてプリントアウトし、台所に貼っておきます。

 

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写真:買いすぎた今週。想定メニューがわりと手のかかるものばかりになってしまい、ちょっとビビってます。翌週、翌々週の注文は控えめにしました。

 

 

実際に食材が届いて使いだしたら、使ったものから消していきます。

そうすると、少なくとも生鮮品に関しては在庫が一目瞭然になります。

 

いつも目につくところに貼ってあるのもポイントです。

リストを取り出して……なんてやっていたら、まず続かない!

 

 

ストックが可能な食材については、「このカゴにおさまるだけ」方式でざっくり管理しています。

 

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最後の1個になったら冷蔵庫横の小さなホワイトボードに書き込んで、補充を忘れない仕組みも作りました。 

 

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写真:食材以外のものも書き込んであります。これを導入してだいぶ「やばい、ない!」がなくなりました。

 

 

 

食べたいものが思い浮かばない問題

これもよく聞くお悩みです。

 

食べる人が複数人いると、Aはコレが苦手、Bはアレは食べない……という縛りがあって、なかなかメニューが決まりません。

つい、自分以外のほかの人たちの好みを優先してしまうのも、あるあるでは?

作る人の思いやりですね。

 

わたしは「献立は作る人が食べたいもので決める」でよいと思います。

自分の「これ食べたい!」でもいいし「これ食べさせたい!」でもいいんですが、作る人の内なる欲求がいちばんのモチベーションになるんではないかな、と思っています。

 

わたしは、わたしが作る限りは「自分が食べたいもの」を優先しています。

それでもし子どもが文句を言ったら「今日はこれしかないよ」と返します。

子どもがどうしても食べないときは、ごはんに鶏そぼろで済ますこともあります。(むしろ喜んで食べる)

 

とはいえもちろん、子どもが明らかに食べられない料理(辛いものとか)をメインにすることはありませんし、だれかが体調が悪ければ、そういう人でも食べられるものを作るという配慮はします。

 

給食がカレーだった日の夕ごはんがカレーになってしまったら、「うちのカレーはひと味違うのよ~」で堂々と出してもいいんじゃないかなーと思います。

 

食べたいものが思い浮かばないときは、書店に行ってグルメ本や料理雑誌、料理本を眺めてみてはいかがでしょうか?

「作れそうか否か」「栄養的にどうか」「カロリー」などは一旦脇に置いて、反射的に「食べたい!」と思うものをできるだけたくさん探すのです。

そうこうしているうちに、食べることに関する自分の「今の気分」が見えてくるはずです。

 

 

 

「何でもいい」にどう対応する?

いっしょに食べる人たちに「何食べたい?」と聞いたら、「何でもいい」と返ってきて脱力……。

これもあるあるですね。

 

これへの対応として、面白い返しがtwitterに転がっていました。

 

 

たぶんコツは、心を決めて、何度でも自動応答装置のように繰り返すことと、実際にドッグフードを出さないまでもチラつかせて本気を見せるか、だと推察されます。

 

ちょっと過激な手ですが、本気で悩んでいる方はやってみてもいいかもしれません。

もうちょっと穏便に済ませたい方には、自分が食べたいものを作る、はいかがでしょうか。

 

  

 

「納得感も手放さず、楽をする」は善

台所をなんとか安定的に回せるまで試行錯誤し、現時点での結論を書いてきました。

これは無論、わがやの今現在において有効な方法に過ぎません。

ここからどんどん変化していくでしょう。

 

また、毎日買い物に行ける人には限定的にしか参考にならないだろうし、料理が超絶苦手という方には「難しい」と感じるかもしれません。

ただひとつ言えることは、「納得感もありつつ、楽をするためにはどうするか」をしつこく考えていれば、自分に合ったやり方はかならず見つかるということ。

 

料理が苦手な方は、毎食一汁一菜にするもよし、他の人にやってもらうのもよし、お金を使えるならば外食オンリーだっていいわけです。

(たとえば、専業主婦だから料理をしなくてはならない、なんてことはないとわたしは思っています)

 

なんなら、こういうのもアリですよ!

(弁当ですけど、この精神は応用できる!)

 

 

 

 

自由に発想して、自分に合ったやり方を編み出してうまくいったときの達成感は、なかなかのものです。

 

たかが料理、されど料理。

いや、たかが家事、されど家事、かな。

 

探求・発見がおもしろくて、まだまだ試行錯誤は続きそうです。