一汁一菜でよいという実践

信州のめぐる四季のなかで食と食まわりを坦々と記録する日々。余裕のない日は一汁一菜以下、そうでない日はそれなりに。

とうとうパンづくりに手を出した冬

※間違って途中の文章をアップしてしまいました。一旦削除して完成した文章をアップし直しました。★をくださった方、誠に申し訳ありません。

 

 

ごぶさたしております

 

おひさしぶりです。gyogoです。

 

 

昨年11月くらいから調子を崩して、日々の食事は作ったり作らなかったりで、でも、何かしら食べてはいました。

夫がいない日の夕食は、子どもとそれぞれカップ麺を食べてハッピー! なんて日もありましたっけ。

 

 

ブログに復帰したらまず書こうと思っていたのが、パンづくり。

昨年の11月頃からはじめて、調子が悪いなかでもなぜか続いていて、今日に至ります。

(続いている理由は、おいしいことと、パン生地を触ること自体がある種のヒーリングになっているからだと思います。パン生地って本当に気持ちいいんです!)

 

 

まずは焼くべし!

 

じつは、「パンを焼くなら自家製酵母で!」という思いが強すぎて、パンづくりにはなかなか手が出せませんでした。

東京に住んでいるときに天然酵母パンの教室に通って、レーズンで酵母を起こしたこともあったんですが、なかなかその先に行くことができず。

 

 

今思えば、謎のこだわりです。

別に自家製酵母じゃなくてもよかったのに。

 

 

「それよりなにより、とにかく焼こうよ! ジブン!」と我に返って、まずはドライイーストで焼いてみることにしました。

 

 

子どもたちが量を食べるようになってきて、パンは買うとお金がかかってしまうという現実的な問題も、後押ししてくれました。

 

 

で、最初に焼いたパンはこんな感じ。

 

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素朴な丸パンです。

下方向、横方向など好きなように膨らんでいます。

 

 

「なんだ、焼けるじゃん!」と思ったらとっても楽しくなって、このあと1~2回焼いたでしょうか。

 

 

 

そういえば酒粕があった

 

つくらないくせにパンづくりの本は手元にありまして。

甘酒や酒粕の酵母でつくるパンの本をめくっているときに、「そういえば、冷蔵庫に酒粕があったわ!」と思い出して、酒粕で酵母を起こしてみることにしました。

 

 

ちょうど、寺田本家の酒粕を買ってあったのです。

(千葉県香取市の蔵元。化学培養せずに自家採取した菌と地下水、自家米をつかったお酒が特徴の酒蔵です)

 

酒粕酵母は、ほぐした酒粕に4倍量の水を入れて放置するだけ。

暖かいところに置いておけば、3日ほどでぷくぷくの酵母液が完成します。

酒粕酵母でパンをつくると、ほのかにチーズのような香りがするのが特徴的です。

 

 

自家製酵母でのパンづくりには、大きく分けて「ストレート法」と「元種法」があります。

ストレート法は、酵母液を水分として混ぜ、パンをつくります。

元種法は、酵母液と強力粉を混ぜ、さらに酵母液と強力粉を継ぎ足していって「種」をつくってから、パンづくりに取り掛かる方法です。

 

最初のうちは、「ストレート法」でシンプルなパンを焼いていました。

 

 

 

酵母はいろんなもので起こせる

 

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左のふたつが酒粕酵母液です。

右端は、頂き物の自家栽培キウイで作った酵母液です。

が、キウイには小麦粉のグルテンを分解してしまう酵素があるので、パンづくりには向かないことを後で知り……。

キウイ酵母液はパンケーキの水分として使いました。

 

 

じつは、酵母はいろんなもので起こせるのです。

レーズンをはじめとしたドライフルーツ、果物、お米、紅茶、小麦……。

 

 

条件としては、素材に酵母がついていることと、酵母の養分となる糖分があること。

(オイルコーティングしてあるドライフルーツが酵母に向かないのはそういう理由からです)

 

 

わたしは、デーツ(干したナツメヤシの実)でも起こしてみました。

ただ、開封して時間が経っていたデーツだったので、糖分はしっかりあるものの、酵母が少なくて、発酵はいまひとつ。

そこで、酒粕酵母を足してみたら、win-winの関係になって力強く発酵していました。

 

 

そう、酵母は混ぜて使うこともできるのです。

 

 

 

元種法にトライ

 

元種で作るメリットは、副材料を加えやすくなることです。

水分を牛乳や果汁などに置き換えることができます。

また、発酵力が安定しやすいというメリットもあるようです。

 

 

酵母液がたくさんできたので、元種にもトライしてみました。

 

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元種ができあがってつくりはじめたのが、食パン。

なんだかんだ言って、わたしは食パンが好きです。

 

 

型は、とりあえず家にあった野田琺瑯の深い長方形の容器を使いました。

 

 

上右の写真は、右の食パンが日清製粉カメリアを使ったもの、左の食パンは長野県産強力粉に米粉を加えたもの。

こんなふうに、材料を少し変えてつくることもしてみました。

 

 

食パンの材料は、

●強力粉

●酒粕酵母元種(酒粕、水、強力粉)

●なたね油

●牛乳

●砂糖

●塩

 

 

油分と牛乳が入るので、少しリッチになります。

 

 

 

ほかにもいろいろつくってみたよ

 

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卵が入るさらにリッチなパンにも挑戦。

上の写真がその生地で、あんぱんに仕立ててあります。

一般的には、副材料が入るほど膨らみは悪くなると言われています。

が、わたしの実感では、卵が入ったパンは窯伸び(オーブンで焼いているときの膨らみ)がいちばん良かったです。

 

 

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これは食パンと同じ配合で、ドッグパンに仕立てました。

小さくすると、水分が蒸発するのが早いですね。

少し固めの仕上がりになります。

そんなことも、つくってみてはじめてわかりました。

 

 

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さらには、ウー・ウェンさんの本の花巻にも挑戦。

レシピではドライイーストなので、元種でつくれるようにレシピを計算し直しました。

酒粕酵母だと香りがいいですね。

 

 

 

すっかり小麦粉と仲良くなって……

 

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こちらはパンではありませんが、小麦粉つながりで、ずっとつくってみたかった信州名物おやきにもトライ。

 

 

おやきは地粉(中力粉)なので、強力粉と薄力粉を半々でブレンドします。

 

 

わたしは、おやきは膨らませないタイプが好きです。

このときは、切干大根とわしたポークをカレー味で炒めたものを具にしました。

焼き餃子と同じで、フライパンで焼いてから蒸し焼きにする方式で、カリッとした部分とむっちりした部分のコントラストがたまりません。

 

 

 

今は食パンばかり焼いてます

 

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今は、もっぱらこんなふうに食パンばかり焼いています。

真ん中のものは、「強力粉+全粒粉、元種、水、米飴(麦芽糖入り)、塩」でつくったリーンな食パンです。

噛みしめると粉の味わいがより感じられて、大人には好評です。

 

 

面白いんですが、全粒粉を使うと一次発酵のときの膨らむ勢いがすごいんです。

よーく膨らみます。

 

 

その理由のひとつに、石臼びきの全粒粉を使っていることがあるのではないかと推測しています。

 

 

 

パンの世界はおもしろい!

 

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こちらの本によると、石臼びきの粉は、小麦の中にある成分が損なわれにくく、膨らみがよくなるんだとか。

(製粉してからあまり時間が経っていないことも大事)

一般的な製粉方法だと、どうしても熱が発生してしまい、成分が壊れやすい傾向にあるそうです。

 

 

実際に自分でつくってみて、実感できました。

 

 

が、二次発酵や焼成時はそこまで膨らまないのも面白いところ。

全粒粉らしい少し詰まった感じの焼き上がりです。

 

上の本は、東京で「シニフィアン・シニフィエ」という有名なパン屋さんを営んでいる志賀勝栄さんの著書です。

(講談社選書メチエから出ているというのも、個人的には興味深いです)

とても刺激的で面白い本でした。

 

 

志賀さんのパンは、エッジを攻めるような唯一無二のパンだそうです。

水分が0.5%変わるだけで違うパンになるという世界の話で、さすがプロと唸らせられました。

探求心とイマジネーション、そしてそれを実現する技術力がとにかくすごいです。

 

 

ほかのことにも言えますが、現代は「いにしえの知恵」と、「最新のテクノロジー」(一定の温度・湿度を数時間キープなんてことは昔はできなかった!)があわさって、人類が味わったことのないパンをつくることができるのです。 

 

 

実際に、志賀さんのお店では発酵に120時間もかけたバゲットが売られています。

 

 

おもしろいですね!

いちど食べてみたいなぁ。

 

 

 

てきとーでもおいしいなんて最高じゃないか

 

わたしのパンはといえば、日によってこねていて「あれ? 分量は同じなのに今日は生地がべとつくなぁ」などの違いは感じますが、だいたい同じ感じで焼きあがる“てきとー”パンです。

それでも、家族がおいしいと食べてくれて、なにより自分自身が好みだと感じられるパンがコンスタントにつくれているのですから、これ以上何を求めようか!

 

 

力強い酒粕酵母くんを我が家の“四男坊”として、かわいがっていきたいと思います。

 

 

久しぶりに書いたら、ずいぶん長くなってしまった……!