因縁浅からぬスパイス
スパイスはお付き合いが難しい?
わたしは、過去にいろんなスパイスに手を出しては使いこなせず討ち死に……を繰り返してきています。
そんなわけで、少々因縁めいているスパイスとのお付き合い。
スパイスなど使わないで料理を作ってやる!
と思ってはみるものの、やっぱり少しあると料理に変化が出て重宝する有能なヤツなので、結局手放せないまま今に至ります。
先日、久しぶりに我が家のスパイスを棚卸ししました。
プラスチックの容器をスパイスボックスに。面倒でも頭に名前を書いておくと一目瞭然。使い忘れもなくなって、取り出すときも楽です
ここ数年は、スパイスを気まぐれで買ったり、料理に合わせて買ってその後使わないということはほぼなくなっています。
なぜなら、ここに入る量しか持たないと決めているから。
整理収納の鉄則のひとつですが、容れ物の大きさを決めてしまう作戦です。
保存は冷蔵庫の最上段が定位置です。
冷凍したほうがいいという話も聞いたことがありますが、とりあえず冷蔵にしてあります。
これだけでも、だいぶ香りのもちがいいと感じます。
とはいえ、常温で保存している人も多いので、気分の問題かもしれません。
わがやのオールスターたち
【スタメン】クミンシード、カレー粉、五香粉、ナツメグ、オレンジチリ、ローリエ、和山椒、花椒、スモークパプリカパウダー、シナモンパウダー、ブラックペッパーホール
●クミンシード
カレーのスタータースパイスとしてだけでなく、クミン風味の炒め物や和え物を作りたいときに使っています。これひとつで一気にインドにワープできます。
いつもの料理に変化がほしい! というときにもいいのです。なたね油でクミンシードと塩をじっくり温め、香りが立ったら生野菜やゆで野菜にかけて和えるだけで、野菜がわしわし食べられます。
こんな本も持っていたんでした。もっぱら眺めて楽しむだけですが。「クミンで和食」という意欲的な章もあり、クミンが日本の食卓にマッチすることが実証されています。『クミン料理の発送と組み立て』著・日沼紀子(誠文堂新光社)
●カレー粉
ここ数年ずっと、この「モティバイ家秘伝カレーパウダー」一本です。フィジーのもので香りが独特であるところ、唐辛子などの辛みが入っていないところが気に入っています。
モティバイ家というのは、フィジーの旧家のようです。フィジーは人口の半分がインド人なのだとか
●五香粉(ごこうふん、ウーシャンフェン)
中華風の煮物、焼き物にピッタリのミックススパイスです。甘辛味、醤油味によく合います。
シナモン、クローブ、花椒、フェンネル、八角、陳皮などを混ぜていて、五とあるもののメーカーによっては必ずしも5種類というわけではないそう。
これを使った叉焼が大好きです。中華街の香りがしますよ。
これとカレー粉があれば、かなり料理に変化がつきます。食欲をそそるはっきりした香りなので、お弁当にも重宝しますね。
五香粉の香りがたまらない叉焼!
●ナツメグ
これは、ハンバーグとホワイトソースにしか使わないんですよね。でも、これがないとわたしの中でハンバーグとホワイトソースは完成しないんです!
たまにしか使わないので、ホールで買って都度グレーターで削るようにしています。ナツメグは大量摂取すると体に異変が起きて死ぬこともあるそうなので、気をつけてください。
アメリカはマイクロプレイン社の「ゼスターグレーター」。スパイスだけでなく、チーズの塊やレモンの皮もおろせます。料理の上で直接削りやすい形状なので、なかなか便利です
●オレンジチリ
唐辛子は辛いだけじゃない、というのを初めて教えてくれた唐辛子です。
岐阜県郡上市で「農園サユールイトシロ」を営む稲倉哲郎さんが育てている唐辛子です。
わたしは、オイル系、トマト系のパスタにかけることが多いです。香りがいいのと、ほのかな甘みがあります。
●ローリエ
いわゆる月桂樹の葉です。洋風の煮込みやグリルの香りづけでよく使います。日本の台所では、比較的出番が多いのではないでしょうか。ときどき夫がハムやベーコンを作るときにも使うので切らさないようにしています。
●山椒
山椒の粉も、そうしょっちゅう使うわけではないので、粉で買うともったいないなぁと常々思っていました。
そこで、ホールで買ってミル付きのビンで保存することに。
ネットで見つけたGABANの「高知県産・仁淀川山椒」に惚れ込み、今はこれ一本です。
セラミック刃のミルはなかなか便利です。左が仁淀川山椒です
●花椒(ホワジャオ)
これも、ミル付きのビンにホールを入れてあります。四川っぽい辛い麺料理、麻婆豆腐などにたっぷりひきかけます。昨年の夏に友人から教えてもらった「西安なす」にも欠かせません。先日、ネットでGABANの「四川赤山椒<花椒>」を見つけたので、封を切るのを楽しみにしています
ドーンと100g。せっせと使いたい
●スモークパプリカパウダー
どういう出会いかもう忘れてしまいましたが、何かで使ってみていっぺんで気に入りました。スペインのスパイスで、樫の木で燻製にして乾燥させたパプリカを粉末にしています。
スペイン風の煮込みっぽいもの、トマト煮込みによく合います。あとは肉のグリルやバーベキュー、フライドチキンの風味づけに欠かせません。
パプリカパウダー自体、色づけ目的で使われることが多くて、香りがイメージしにくいスパイスかもしれません。
いちばんよくわかるのは、チーズトーストにふりかけたとき。わたしはこれで、パプリカパウダーの香り、コクを初めて実感できました。
スモークするとより香りに奥行きが出て複雑になります。甘みとほのかな苦みがあります。面白いことを考えた人がいるものだなぁ、と感心してしまいます。
一度にそこそこ使うので、大袋で買っています
●シナモンパウダー
シナモンはとりあえずあると便利。紅茶に入れちゃえ! みたいな。わたしは、ターメリックライスに少し入れるのが好きです。豚肉にも合いますよ。今ある分がなくなったら、スティックにしようと思っています。
●ブラックペッパーホール
黒こしょうは、ペッパーミルで都度ひいています。香りが断然違うので、おすすめです。最近は、色みの白い料理用にホワイトペッパー(ミル付き)も使ってみています。意外と出番が多いので、今後定番化しそうです。
昔Amazonで見つけたペッパーミルは、右のハンドルを握ると下からひいたこしょうが出てくる仕掛け。ホワイトペッパーはたしかS&Bのミル付き
【新人】フェンネル、サフラン
●フェンネル
パン教室で習ったイタリア風パンに入れてもよいということで、買ってみました。
和名で茴香(ういきょう)と言います。香りの系統としては、アニス、八角、キャラウェイシードと同じです。ハーブティーにもできるようですね。
わたしは、お腹をすっきりさせたいときにかじることがあります。中国料理にも合います。
スーパーに行ったら「アニス」と「キャラウェイシード」しかなくて、何度見てもなくて、とりあえずアニスを買ってしまいました。
あとでネットでフェンネルを買ったので、今はとりあえずアニスとミックスして使っています。
●サフラン
クロッカス属の花のめしべを乾燥させたもので、量を採るのが大変なのでちょっとでそこそこの値段がします。水に浸すと鮮やかな黄色が出て、独特の風味を持っています。サフランライスを食べたくて買ってみました。とりあえずは、この夏だけ使ってみます。
【二軍落ちか?】クローブ、タイム、カルダモンパウダー
●クローブ(ホール)
リンゴや生姜によく合います。カレーにも。が、うちでは出番が少ないんですよね。
わたしの中では、秋冬のスパイスというイメージです。
クローブのホールは釘のようなかたちをしているので、ポトフのときに玉ねぎに刺して使ったり、丸のオレンジにびっしり刺して「ポマンダー」というポプリのようなものを作ることもできて、なかなかおもしろいヤツなのです。
今ある分がなくなったら、いったん休みます
●タイム
これも何かで買ったんですが、その後フランス風の煮込みやグリルにちょこちょこ使っています。これを入れると一気にプロヴァンスの風が吹くという感じでわかりやすい良さがあるんですが、わがやの食卓には必須ではなく。
なくなったら、意外と使えるオレガノにスイッチしてもいいかな、と考えています。
●カルダモンパウダー
本当はホールでほしかったんですが、ここいらのスーパーにはパウダーしかなく。バターチキンカレーをどうしても作りたくて買いました。
カルダモンは乳製品によく合います。以前、料理家の長尾智子さんのレシピで、カルダモンを使ったフローズンヨーグルトがあっておいしかったナ。
この夏、いろいろ試してみようかと思っています。バターチキンカレーもとてもおいしかったので、また作ろうと思います
クックパッドで見つけた本格的なバターチキンカレーのレシピで作ってみました。スパイスは意外と少なくて、ポイントはペースト状にすりつぶしたカシューナッツ。コクがあるのにするする入るので、インドカレーがあまり好きではない長男も激賞してくれました
気に入ってるスパイス・ブランド
●GABAN
スパイスといえばGABAN。ラーメン店の卓上でも見かけるブルー&シルバーの渋いやつ。プロユースというイメージも強いかもしれませんね。ネットで探すと、スーパーではなかなかお目にかかれないようなマニアックなものもあります。さすがGABAN!
●マスコットフーズ
なかなかないスモークパプリカパウダーがあったのが、マスコットフーズだったのです。それだけのことで一目置いています。
そうだ、ここで有名なのは瓶詰めカレーペーストの「印度の味」ですね。今年で30周年だそうですよ。
●VOXSPICE(ヴォ―クススパイス)
ちょっと珍しいオーガニックのスパイスばかりを扱っています。
入っている量もケチケチしていないのがいいですね。そしておいしい。こだわりたい方はぜひ!
「ホール」か「パウダー」か問題
スパイスの形状には「ホール(実の形状そのまま)」と「パウダー(粉末)」があります。
ざっくり言ってしまえば、
・ホールは加熱する料理に
・パウダーは加熱しない料理や料理の中盤~最後に入れたいとき
と用途が分かれます。
ホールのまま使う場合は、料理の最初に油でゆっくり温めるなどして香りを起こしてあげる必要があります。
また、ホールのほうが香りがもちます。
あまり使わないものはホールで買って、都度削ったり砕いたりすると香りが飛びにくくておすすめです。(ミルや乳鉢ですりつぶすのが一般的ですが、包丁の腹で叩いたり、切ったりしても)
とはいえ、無理にホールを買う必要はないと思います。
何にどのように使うのかで選べば充分です。
よく使うものならば、香りが飛ぶというのもあまり気にする必要はないですしね。
スパイスで海外旅行気分
スパイスは、使うだけで異国に行ったような気分になれるのがいいですね。
今は海外旅行にはなかなか行けないので、料理で海外旅行というわけです。
それにしても、何でいきなりスパイスかって?
やっぱり、夏になるとスパイスのきいたものが食べたくなるからです。
単純ですね。